第21回大会特別講演・シンポジウム報告書
(2007年度ミズノスポーツ助成金研究成果報告書)

【目 次]
はじめに
第一部 スポーツ史学会第21回大会「シンポジウム」載録
「叡知の身体技法 -忍術における身体のヴィジョンを探る-」    
司会………………………瀧元誠樹
シンポジスト………………川上仁一、中島篤巳

第二部 スポーツ史学会第21回大会シンポジウム抄録   
忍術に秘められた叡知を探る………………瀧元誠樹  39
心身不二の忍術修行………………………川上仁一   41
忍術の特性と忍者の運動医学………………中島篤巳  43
【資料】忍者の風土………………………中島篤巳    44

第三部 シンポジウム参加記
「忍びの者」=「ジェネラリスト」ということについて………………松本芳明  53
「バーチャルな身体」への抵抗-シンポジウム「叡智の身体技法」をきいて-
…………………………………………………………………………松浪稔   57
「忍び」の「身体」をどのように捉えていくのか………………月嶋紘之  61
「脱臼」と「縮地」………………竹村匡弥   64
<忍びの身体>という視座に立つ -「不透明性」へのパラダイム・シフトの可能性-
…………………………………………………………………………稲垣正浩   67

第四部 個別論文
「可能性」としての他者 -「他」であることを認識させない忍術〃の身体技法-
…………………………………………………………………………井上邦子  75
感性を磨く「忍び」の術………………………………………………瀧元誠樹  85

 
 はじめに
 この小冊子は、研究プロジェクト「叡知の身体技法 -忍術における身体のヴィジョンを探る- 」 (研究代表者一瀧元誠樹)の研究成果をまとめたものである。本研究プロジェクトは、スポーツ史学会の推薦を受けて、2007年度財団法人ミズノスポーツ振興会研究助成に応募し、採択された。本研究プロジェクトと関連する企画が、スポーツ史学会第21回大会にて11月3日(土) と4日(日)に札幌大学を会場にして開催された。そのひとつが 『叡知の身体技法 -忍術における身体のヴィジョンを探る- 』 をテーマとするシンポジウムであり、もうひとつが特別展である。

 本研究プロジェクトは、古武術の身体技法のひとつである「忍術」を対象にし、スポーツ学の視点から 「忍術における身体のヴィジョン」 について検討しようとしたものである。近年、「忍者走り」 や「ナンパ歩き」などの言葉の使用にみられるように、競技スポーツ界において、古来の身体技法が見直されるようになってきた。これはこれまでの近代科学、スポーツ科学における身体のとらえ方や身体技法とは別種のものが注目され始めていると、とらえられる。

 スポーツ史研究においても、古来の身体技法や身体観を掘り起こして近代科学やスポーツ科学を補完したり、アンチテーゼとしたりするというのではなく、それらを包含しつつ、人間が生きることを根底にした「スポーツする身体」、「武術する身体」が捉え直されてきている。このようなスポーツ史研究の課題に照らして、1忍術における身体のヴィジョンを探ろうというのが、本研究プロジェクトの骨子である。
 そこで、スポーツ史学会第21回大会シンポジウムでは、甲賀流伴党家第21代で伊賀流忍者博物館名誉館長である川上仁一氏、忍術研究家で伯耆流柔術宗家他多数の古武術を修められ医学博士でもある中島篤巳氏をシンポジストとして迎え、「忍び」や「忍術」における活発な議論を展開し、新たな地平を拓くことを試みた。本報告書は、そのシンポジウムを中心にしたものである。具体的な内容は次のとおりである。

第1部 スポーツ史学会第21回大会「シンポジウム」載録
第2部 参考資料
     スポーツ史学会第21回大会シンポジウム抄録
第3部 シンポジウム参加記
第4部 個別論文

 この度は、突然のご依頼にもかかわらずシンポジストをご快諾くださり貴重なお話をご披露くださった川上先生、中島先生には多大なご協力をいただいた。しかも、お忙しいなかシンポジウム載録にあたっても校正までしていただいた。両先生の参画のおかげで机上の空論とならず、非常に密度の濃い報告書が成立した。
また、大会運営においてはスポーツ史学会事務局、第21回大会組織委員会の方々に支えていただいた。特に、3時間にもわたるシンポジウムのテープ起こしを月嶋紘之氏には引き受けていただいた。そして、財団法人ミズノスポーツ振興会、プロジェクトの当初から報告書作成に至るまで多くの方々のお力をお借りした。特別展では、貴重な忍具を皇武道塾塾長石田博昭氏に提供していただいた。これらすべての方々に、ここに心から感謝の意を表したい。本当に有り難うございました。

(スポーツ史学会第21回大会組織委員会委員長 瀧元誠樹)
  2007年3月

 
瀧元誠樹 (札幌大学、研究代表)
松本芳明 (大阪学院大学)
松浪 稔  (福岡女子大学)
月嶋紘之 (神戸市外国語大学非常勤講師)
竹村匡弥 (奈良女子大学附属中等教育学校非常勤講師)
金 誠  (札幌大学)
大沼義彦 (北海道大学)
稲垣正浩 (日本体育大学大学院)
井上邦子 (神戸市外国語大学非常勤講師、21世紀スポーツ文化研究所)

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